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☆一夜の夢☆〈イケメン戦国 上杉謙信〉

第11章 看病七日目 愛を交わす(R18)


後ろから覗き込むようにしていた謙信様の表情が少し翳った。


謙信「寂しいか?」

「ええ、少し」


少しどころじゃないけど、凄く寂しいなんて言ったら子供っぽい気がして嘘をついた。


謙信「少し?」


後ろから回っていた腕に力がこもった。
髪をあげて露わになっている首筋に、咎めるような口づけが降ってきた。


「あ、ん!すみません、嘘です。凄く寂しいです、本当は…」

謙信「最初から正直に言え。お前の嘘などすぐにわかると何度言えばわかる」


(う、なんでわかるんだろう…)


謙信「…?この脛の傷はなんだ?」


お湯の中で私の身体を撫でていた手が止まった。


「さっき浴槽の淵で擦ってしまいました。足に力がはいらなくて、よろけてしまったんです」


薄皮が向けて赤みがあるだけで血は出ていない、些細な傷だ。


謙信「俺が居ぬ間に怪我をするな。お前が傷つくと心配でならん」


傷を手の平で覆ってくれる。


謙信「お前の身体は俺のモノだ。傷一つ負う事は許さん」


後ろから抱きしめられているから表情は見えないけど、私を諫める口調に不安が滲んでいた。


(不機嫌そう?いや違う、これはきっと…)


「申し訳ありません、今度から体に傷を作らないように気を付けます。
 好きな人が傷つくのは見たくないですよね」


そっと謙信様の腕の古傷に触れた。その気持ちは私も一緒だ。
でも謙信様が気にかけているのはもっと違うこと。

きっとそれは………。


「謙信様、私はあなたを残して死にませんから安心してお傍においてください」

謙信「っ、舞」


謙信様の腕に力がこもった。


「あなたが愛した人が不幸になるなんて、そんなことないって私が証明してみせます。
 謙信様が不安なら毎日あなたといて幸せだってことを伝えます。
 私の身が心配だというなら、牢にでも閉じ込めてくださってもかまいません。
 刀を持った相手にも対処できるよう護身術も覚えてみせます。

 だからそんなに不安そうなお顔をしないでください」


身じろぎすると謙信様の腕はあっけなく緩んだ。


身体ごと後ろを振り返ると案の定、不安に表情を曇らせた謙信様と目が合った。


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