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☆一夜の夢☆〈イケメン戦国 上杉謙信〉

第10章 看病七日目 逃避と告白


謙信「お前は嘘が下手だと何度言えばわかる?」

「嘘ではありません」

謙信「目は口ほどにものを言うのだぞ?目が潤み頬も赤い。
 脈もさっきからずっと早いままだ」


腕に閉じ込められ、ゆるりゆるりと嬲られる。


(駄目だ…。なんとか切り抜けないと…)


「男性にこんなことをされたら、たとえ好意を持っていなくても赤くなると言うものです。
 私の好きな方は安土の武将の誰か、とだけ言っておきます。
 謙信様ではありません。わかったら離してくださいませんか?」

謙信「ほう…ならばその者の名を教えよ。次の戦で見(まみ)えた時、八つ裂きにしてやろう。いや、戦などと悠長なことを言ってはおれん。
 今宵、城に忍びこび、手を下してやる」


私の嘘などお見通しと言わんばかりに、剣呑な雰囲気を醸し出している。

整った顔立ちに浮かぶ危険な笑みに身体が震えた。


「おやめください。なおさら謙信様には教えられません」

謙信「教えぬと…今宵、一人ずつ命を刈り取ることになるが良いのか。
 おれは別に構わんぞ。誰がお前の想い人か知らんが、安土の連中に一対一で挑むと思うとこの上なく血が騒ぐ。
 今宵の安土城は大勢の血が流れるだろうな」


(そんな!)


嘘をついたことを後悔する。
このままでは一方的な殺戮が始まってしまう。


「やめてください!ごめんなさい、安土の武将というのは嘘です。
 どうか安土の皆に手を出さないで下さい。都合がいいとお思いになるでしょうが、どちらにも傷ついて欲しくないんです」

謙信「では正直に言え」

「…言いません」

謙信「お前も強情だな」

「謙信様こそいい加減諦めてください」

謙信「馬鹿な、俺が諦めると思うか?」

「っ、しつこい男性は嫌われてしまいますよ?
 想い人に愛想をつかれても知りませんからねっ」

謙信「むっ……」


痛いところをつかれたのか、謙信様が顔をしかめた。


「お離しください。もうお暇します」

謙信「ならぬ。日が高いうちは帰さない」


すげなく言われ、今度は私が顔をしかめる番だ。


「もう!横暴な方ですね!」

謙信「さっきまでは城に帰りたくないと言っていたのは誰だ」

「……意地悪」


頬を膨らませて抗議すると謙信様の目尻が下がった。


(こっちは怒ってるのに、なんで笑ってるの!?)


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