• テキストサイズ

☆一夜の夢☆〈イケメン戦国 上杉謙信〉

第10章 看病七日目 逃避と告白


『あなたのことが好きだから、掴まって欲しくなかった』


それだけだ。

安土で受けた恩に感謝しているのは確かなのに、無下にして恋に走った。


(一般的にいえば『愚か者』だろうな…)


短絡的で愚かな行動だったと思う。
でもさっき謙信様に言ったように後悔はしない。


「何故かは言えません」


現代に帰るんだから。
『好きだから』なんて理由を告げられるはずない。

もう一口お酒を飲むと、苦い気持ちを反映するように舌に苦みを感じた。

さっきまであんなに甘くて香り豊かだと思っていたのに。


(あれ…そういえば)


『お酒の味が変わるとしたらどんなときだろうね』という佐助君の言葉を思い出した。。

結局あの質問の答えは出ないままで、佐助君に答えを聞くのを忘れていた。


(さっきまで飲んでいたお酒は美味しかった。でも悩みながら飲んだお酒は苦かった…)


意味ありげだった佐助君の顔まで浮かんできた。
体調を崩した時だけじゃない、心境の変化でも味は変わる。


『舞さんはお酒を美味しくさせる力があるのかもしれないね』


「……!」


(まさか…そんなことあるわけないよね)


越後で飲むよりも安土で飲んだ時の方が美味しいと感じた理由。

越後で飲んだ時………私が居なかった…から?

酔っているからだろうか。都合の良い可能性を見出して愕然とする。


(まさかだよ。そんなことあるはずない)


だって謙信様にはちゃんと好きな人が居るんだから。

そうだよ、と自分で自分にツッコミをいれて納得する。


/ 1735ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp