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☆一夜の夢☆〈イケメン戦国 上杉謙信〉

第10章 看病七日目 逃避と告白


――――
――


三成君達が足を向けた方とは違う道を通って長屋に向かった。
細い路地裏を通り、様子伺いのために通りを覗いた時だった。


謙信「……こんなところで何をしている?」


目の前に謙信様が現れて胡散臭そうな顔でこっちを見ている。


「謙信様っ!こっちへ」


ただならぬ雰囲気を察したのか謙信様は手を引かれるままに路地裏に身を潜ませた。


謙信「どうした!?」


目元を鋭くさせた謙信様が私に問いながら辺りをざっと見た。
一瞬にして臨戦態勢に入るあたりが流石だ。


「謙信様の目撃情報が入り、三成君がこの長屋付近を見回っているんです。
 部屋から出ないように伝えに来たのですが…」


説明しているうちに聞きなれた声が聞こえてきて口を噤み、耳をそばだてる。


三成「……今話した容貌の男をこの辺で見たことはないですか」

住人「そういえばそんな感じの男が最近部屋を借りてたなあ。どの部屋か知らんが、大家に聞けばわかる」

三成「大家さんの家まで案内をお願いできますか」

住人「いいとも」


複数の足音が遠ざかり、気配が消えたのを確かめて通りに顔を出した。


「部屋に戻っては見つかってしまいます。逃げましょう」


首に巻いていた襟巻を広げ、謙信様の頭にかぶせると褪せた金髪が隠れた。

襟巻から覗く双眸が鋭くなる。


謙信「俺を助けるのか。信長達を裏切るのか?安土の姫よ」


真っ直ぐ見据えられ、この状況で試されているのだと知る。


「安土の皆を裏切りたくないです。
 でもっ!あなたには掴まって欲しくない、絶対に」


嘘偽りのない気持ちを伝え、腕を引いて通りに出た。
着物だから走りにくいけど、三成君達から離れようと懸命に足を動かす。

最初は引っ張られて後ろを走っていた謙信様が途中から横に並んで走っている。

頭からかぶった襟巻が取れないように器用に首に巻き付け、普通だったら不審な人にしか見えない格好も、謙信様だと品よくまとまってお洒落に見える。


謙信「行く宛てはあるのか」

「ないです。どこかのお店に入るか、城下のはずれまで走るしか……」

謙信「そこには見張りが居るだろう。こっちだ」


逆に引っ張られる側になり、知らない道に入った。


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