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☆一夜の夢☆〈イケメン戦国 上杉謙信〉

第1章 触れた髪


謙信「門限を定められているのか?」


水を一気に飲み干して一息ついたところで謙信様に問われた。

いつの間にか隣に腰かけている。

お茶屋さんの時より距離は遠いけれど、さっきの続きみたいだ。


「いいえ。そういうわけではないんです。
 とても気にかけて下さって、一度だけ暗くなってから帰ったら外に出て私の帰りを待っていてくれたんです。
 申し訳なくて、それからは明るいうちに帰るようにしているんです」

謙信「随分と大事にされているのだな」

「ええ。皆さん、とても大事にしてくれて、感謝しているんです。
 からかわれて、意地悪されて、そっけなくされて、世話焼きされて…ふふ。
 4か月しか一緒に居ませんが、とても大切な人達になりました」

謙信「…そうか。それ程なら酔って帰っても罰せられる事はないか?」

「え?あ、大丈夫です!多少(秀吉さんに)お小言を言われると思いますけれど。
 もしかして心配してくださったのですか?」

謙信「別にお前の心配などしていない。
 奉公人が酔っぱらって帰ったら、さぞかし主人は迷惑であろうと思っただけだ」


『佐助がそんなことしたら斬りつけているところだ』と呟いている。


(謙信様なら本当にやりそう。でも今はきっと私の身を案じてくれている)


なんとなくそう感じた。


「謙信様はやっぱり優しい方ですね。
 最初は怖い方だと思っていたんですけど、今日一日で印象が凄く変わりました」


謙信様はゆるりとこちらを向くと小さくため息を吐いた。


謙信「……正直に物を言いすぎではないか?
 この俺にそのような物言いをする女、いや人間は居ない。
 ああ、佐助もそうだな」


(しまった!また怒らせちゃったかな。
 今度佐助君に『武将との言葉使い講座』でも開いてもらわなきゃ)


「気分を悪くされたなら謝ります」


体を小さくして謝ると、謙信様はフンと鼻をならした。


謙信「別に謝れとは言ってない。俺は必要以上にへりくだってくる奴は好かん。
 お前や佐助のような物言いをする人間の方が嘘はなく信用できる」


その言葉に冷やしていた頬がまた熱くなる。

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