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☆一夜の夢☆〈イケメン戦国 上杉謙信〉

第9章 看病七日目 岐路


(恋仲ではない!?)


シンとした沈黙の後、


謙信「なっ…んだと!?何故今まで偽っていた!」


俺の勢いに負け、舞の涙がひっこんだようだ。


「何度も訂正しようとしましたがその度に邪魔が入って…」


舞は申し訳なさそうに謝ってきて、俺は衝撃を受けながらも記憶を辿った。


謙信「確かにお前達の口から恋仲だとは一度も聞いていないな…。
 それにお前や佐助が何かを言いかけてやめたことが何度かあった」


時々感じていた違和感の正体がわかった。

友人なら背中の傷を見せるわけにはいかない。友人が国へ帰るというのを強く引き留めるわけがない。


だが佐助は俺に伝える機会は何度もあったはずだ。
何故言わなかったのか、この場に居ない佐助を今すぐ問い詰めたい。


「お、覚えていてくださって光栄です。
 その…誤解です。佐助君は大事な友人です」


衝撃が強すぎて言葉が出てこなかった。


佐助と恋仲ではなかった。


安堵したのと同時に、息を吸ってるだけでかっこいいとは、一体誰のことなのか。

受けた衝撃がおさまらぬうちに舞が諦めの混じった表情で言った。


「私は片思い中ですが、同郷の人以外に深入りしてはいけない事情があるんです。
 ……恋しくても打ち明けられないんです」


なんだそのおかしな事情は?深入りしてはいけないなら、他国の者と婚姻もできないだろう。
そのような縛りを設けている国はない。

話を聞いていくと国が正式に禁じていないようだが『常識的に』いけないことのようだ。

暗い顔で説明する舞が途端に不憫になる。

常識的に、とはどんな意味があるのかわからなかったが、その縛りがあるからこそ身分だけでなく『心』まで偽ってきたのだろうと。

好いた者に打ち明けられぬ辛さは今ならわかる。


(だが遅すぎたのではないか?)


謙信「すでに特別な気持ちを抱いているのであろう。
 以前お前は『ここを離れれば自然と気持ちに整理がつき、薄れていくものだ』と言った。俺はてっきり恋仲の佐助のことかと思って聞いていたが…」


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