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☆一夜の夢☆〈イケメン戦国 上杉謙信〉

第8章 看病六日目 道ならぬ恋


――――
――

昼食の片づけを終えて一度外の様子を見に行った。

羽織を着ないで外に出たので冷たい風が身に染みた。
せっかくお蕎麦を食べて温まっていた身体が急激に冷えていく。


(佐助君…すぐ戻るって言ってたのに大丈夫かな)


戻ると謙信様が歩み寄ってきた。


謙信「何をしている。冷えるだろう」

「佐助君が戻らないので心配で……」

謙信「佐助なら大丈夫だ。久しぶりに外の空気を吸って足を延ばしているだけだろう。
 それよりお前の方が白い顔をしている」


促されて草履を脱ぎ、囲炉裏端に座らされた。
ずずっと鼻をすすると外套を貸してくれた。

少し重みがあって丈が長いのでとても暖かい。また心地良い香りに包まれて気持ちがとろけた。


「ありがとうございます。この外套、とても暖かくて、この首元のモフモフも気持ちいいです」


やっぱり袖が長くて、袖には通さず手は膝にのせた。


謙信「お前は……小さいな」


柔らかく微笑まれ、頭に手を乗せられた。


トクン


頭の上に乗った手が大きい…暖かい…


(なんでそんな…大事なものを見るような顔をしているの?)


謙信様に触れられて、優しい顔をされて何も感じないわけがなかった。

『好き』という気持ちが急激に高まって暴れ出す。


(っ…)


袖に隠れて見えない手を強く握って耐える。


「そ、そうですか?標準的な背格好だと思いますが…。
 それよりお昼ご飯は口に合いましたか?天ぷらで胸やけしていませんか?」


暴れる感情をねじ伏せて話を変える。
話を変えなきゃ何故か甘い空気になりそうで…


謙信「心配するな、お前が作ってくれた料理はどれも珍しく美味しかった」

「よ、良かったです」


失敗。

話題を変えたところで落ち着かない甘い雰囲気は変わらなかった。


(目が…謙信様の目が甘いんだ)


ジッと私を見つめる二色の瞳が、自惚れでなければ…甘さを含んでいる。


でもそんなはずはない。

きっと謙信様に惹かれてどうしようもないから、都合の良いように捉えているだけだろう。


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