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☆一夜の夢☆〈イケメン戦国 上杉謙信〉

第8章 看病六日目 道ならぬ恋


(姫目線)


「佐助君、どこに行くの!?」


昼食の片づけをしている最中、佐助君が草履を履き始めた。


佐助「この辺を少し歩いてくる。熱が下がったから身体を少し動かそうと思って」

「でも…大丈夫?」

佐助「心配しないで、すぐ帰ってくるつもりだから」

「そう……気をつけてね?」


(平熱に戻ったばかりだから今日一日くらいは安静にしてもらいたいけど…)


首元が寒そうだったので襟巻を貸してあげた。


佐助「ありがとう。こうして食事を作ってもらって、心配顔で送り出してもらえるなんて、光栄だ。
 舞さんが奥さんになってくれた気分だ」


佐助君が私の両手をギュっと握り、顔を近づけてきた。
急にそんなことを言われて赤面する。


「え?そ、そんな……」


(どうしたの、急に!?)


私の気持ちを知っているのに、なんでそんなことを言うんだろう?
うろたえて佐助君を見返すとまばたきが多い。


(ん?)


佐助君はパチパチとまばたきして、すっと視線を横に流した。
つられてそっちを見ると、


(う!謙信様が睨んでる!!)


目が据わって凄みを増した謙信様が、不機嫌オーラを隠そうともせずにこっちを見ている。


「佐助君、謙信様が怒ってるよ!」


小声で伝えると佐助君はふと口元を緩めた


佐助「なんで怒ってると思う?」

「え?いちゃついてるから…?」

佐助「当たっているけどちょっと違う。
 これ以上ここに居ると俺が斬られそうだからいってくる」


さっと軽い身のこなしで佐助君は出かけて行った。


「…いってらっしゃい」


(『俺が斬られるから』なんて、怒られるなら私も一緒でしょ?)


佐助君は何を言いたかったんだろう?頭の上にはてなマークを浮かべながら片付けを続けた。

 
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