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☆一夜の夢☆〈イケメン戦国 上杉謙信〉

第7章 看病五日目 謙信様と餃子


(謙信目線)

初めて食べたぎょうざは美味しかった。
使われている材料はごく普通のものだったのに、期待していた以上だ。


佐助「二人で包んだの?寝てないで俺も手伝えば良かった」


佐助が箸を止めた隙に餃子をひとつ攫う。


佐助「あ…その餃子は俺がとろうとしたやつです、謙信様」

佐助「知らんな。早くとらぬ方が悪いのだ」

「ふふ、まだたくさんあるから喧嘩しないでね。
 謙信様は餃子づくりが初めてだったのに、すごく上手だったんだよ。最後の方は直しが要らないくらいだったんだから。
 あ、ほら、この餃子が謙信様が包んだやつだよ。これもこれも…あれ?私が作った餃子はどこ?」


舞が大皿からひとつとり、佐助の小皿に置き、自分が包んだ餃子がないと首を傾げている。


(当たり前だ、佐助も俺も舞が包んだものを食べているからな)


佐助「本当だ。舞さんと遜色ない出来だ」

謙信「佐助、食べながらしゃべるな。行儀が悪いぞ」


餃子の合間に鶏皮せんべいを齧りながら酒を楽しむ。
『辛口のお酒が合いますよ』と舞が出してくれた酒が料理によく合った。


「ふふ、本当に仲がいいんだね」


今の場面を見て、どうして仲が良いと思うのか。
この女の能天気さには呆れる。


「うんうん、謙信様の餃子、美味しいです」


舞が幸せそうに頬を染め、餃子を頬張っている。
佐助が箸を止めて愛でるように見ている。

知り合った当初は恋仲の女が舞で大丈夫かと懸念したが、今では佐助の慧眼に感心する。

この女と居て刀が鈍ることはないだろう。
誰よりも佐助を理解し、陰ながら支えようとするはずだ。

降り注ぐ危険を自ら払いのけそうな…強い女だ。


謙信「材料を用意して下味をつけたのはお前だろう?」

「そうなんですけど、謙信様が包んだっていうだけで凄く美味しく感じるんです!
 ね、佐助君!」

佐助「ふっ、そうだね。でも俺は舞さんが包んでくれた餃子も捨てがたい」


(捨てがたいなどと、お前は先程から舞の餃子っばかり食べているだろう)


じっと睨むと、佐助が意味ありげに瞬きをした。
俺が包んだ餃子を見てから舞の方を見る。


謙信「……?」


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