第92章 現代を楽しもう! ❀デート編(R-18)❀
『ご利用ありがとうございました』
お会計を済ませると精算機器から機械的なお礼が流れ、玄関の鍵が開いた。
扉を開くと新鮮な空気が頬に当たる。
(二人きりの時間も終わりだな)
お土産を買って、早く家に帰らなくてはいけない。
深呼吸をして気分を切り替える。
謙信「名残惜しいが帰ろう……今日は有意義な日だったな…」
靴を履いて先に出た謙信様が手を差し伸べてくれる。
その手を取り、後ろ髪ひかれる思いで外に出た。
歩く度に、薬で抑えられたぼんやりとした痛みを感じる。
謙信「痛むのか?」
「いいえ…ふふ、大丈夫です」
私が運転席に座るまで手を離さず、謙信様はシートベルトまでつけてくれた。
服を着るのも靴を履くのも、何をするにもサポートしてくれて、お姫様扱いだ。
謙信「悔しいが運転はお前に任せるしかない…。頑張ってくれ」
「お任せください。私は大丈夫ですから謙信様も車に乗ってください」
帰り道でお土産のケーキを買い、家路につく。
暗い車内で謙信様の右手はずっと私の太ももに置かれている。
ひと時も離れたくないと……そんな想いが伝わってきた。
ホテルの入浴剤の香りが車内を満たす。
「謙信様……今夜は家族全員で寝ませんか?その……離れるのが寂しいです」
4人で寝るのは狭いけど、今夜はどうしても離れたくない。
子供達が寝付いた後は…謙信様の腕に抱かれて眠りたい。
謙信「容易い願いだ。そのくらい…この1年間ずっと…いつでも叶えてやれたぞ?」
狭いからと謙信様だけ別の部屋に寝ていた1年間。
つまはじきにされている気分だと言っていた謙信様の表情が嬉しそうに緩んだ。
「ふふ……ありがとうございます。あと…明日からも謙信様のお部屋に行っても良いですか?」
謙信様の部屋で抱かれてから眠るのが当たり前だった。
さっきは治るまで抱かないと言われたけど、さっきの反応を見れば…
(いいよね?)
運転中なので謙信様の方を見られなかったけど、熱のこもった視線を感じた。
謙信「本当に……お前は……」
『悪い女』だと連発され、私はそれからも毎夜、毎夜…静かに……優しく愛された。