第92章 現代を楽しもう! ❀デート編(R-18)❀
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謙信「ああ、予定より帰りが遅くなるが、寝かしつけの時間までには帰る」
電話をしている声が聞こえて、沈んでいた意識が浮上した。
(帰り……、寝かしつけ…?あれ、ここどこだっけ?)
うつらうつらとしていると、ガラステーブルにスマホを置く音がして、謙信様が近寄ってくる気配がした。
ギシ……
ベッドの軋む音が家のものとは違う。
ラブホに来ていたんだと目を開けるも、身体は鉛のように重たくて、頭は放心状態だ。
気配がする方へ視線を巡らせると謙信様がベッドの淵に腰かけて、心配そうに見ていた。
謙信「起きたか…」
腫れ物にでもさわるかのように頬をなでられた。
「心配をおかけしてすみません。すぐに帰る準備をします」
謙信「まだ18時前だ。そう急がなくても良い。身体はどうだ?」
窓がない部屋に居るので時間感覚がおかしくなっていたけど、気を失っていた時間はそう長くないみたいだ。
だるいけれど、不思議なことにあまり痛む場所はない。
「はい、大丈夫です。さっきの電話は佐助君ですか?」
謙信「信玄だ。佐助は子供達と風呂に入る準備をしているらしい。夕飯は適当に食べると言っていたから心配するな」
「佐助君達に迷惑をかけちゃいましたね。何かお土産を買って帰りましょう」
謙信「そうだな」
謙信様が私の横に寝転んだ。
布団の中には入らず、掛布団の上から腕を回してくれた。お腹の上に乗った腕の重みにほっとする。
「服に皺が寄ってしまいますよ?」
謙信様はきっちりと服を着ている。
いつまでも動かない私に付き合って、一緒に寝てくれたのかもしれない。
そういえばせっかくの大きなベッドなのに、ふたりでゆっくり寝ていない。
ここに来てからのめくるめくようなひと時を思い出し、恥ずかしくなった。
謙信「良い。手土産を買って帰るだけなら皺など気にしない。
気になるのは舞だ。気を失った後、風呂に入れ、髪を乾かしても目を覚まさなかった。このまま眠り続けるのかと心配したぞ?」
「え、お風呂…?」
全然記憶にない。