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☆一夜の夢☆〈イケメン戦国 上杉謙信〉

第6章 看病四日目 二人の香


佐助「彼女、可愛いですね」


土間に居る舞はこちらに背を向けている。おそらくこちらの会話は届いていない。


謙信「…恋仲の女を上司に自慢するとは熱で焼きが回ったか?」


料理をするからと外套は脱ぎ、夜着にたすき掛けをして動き回っている姿を眺めながら佐助は口を開いた。


佐助「熱はありますが脳は平常運転中です。
 ああして男物の着物を着ていると彼女の華奢な身体が際立って、庇護欲をかきたてられませんか」

謙信「いつから信玄のようなセリフを吐くようになった。
 それ以上くだらんことを言うと斬りつける、ぞ………?」


惚気かと勘違いしそうになったがどうやら違うようだ。


(佐助は何故俺に同意を求めてくるのだ?)


会話を続けながら疑問を持った。
恋仲の女の良さを他人に自慢するような男ではない。


(何故だ?)


佐助「一般論です。でも彼女が忍び装束を着ようとした時に強引に夜着を貸し付けたのはどうしてですか?」


舞から聞いたのか。だがそれを詮索されたところでなんの意味もない。


謙信「…………忍び装束が似合わんと思っただけだ」

佐助「それだけですか?」

謙信「何か言いたいことがあるならハッキリ言え」

佐助「いえ、てっきり舞さんが俺の服を着るのが純粋に嫌だと感じたからなのかと」


心の臓が小さく鳴ったが表に出すほどではない。

忍び姿を想像し不快に感じたなどと、そのまま言ってやるほど馬鹿ではない。
それに不快に感じたからどうだというのだ。


(深い意味はない)


謙信「余計な勘ぐりはやめろ」

佐助「謙信様、俺と舞さんは恋仲では……」

謙信「……?」

「はい、佐助君!たくさん食べてね!」


佐助が何か言いかけたところで舞が昼餉を持って現れた。
結局その続きは聞きそびれ、いつの間にか忘れてしまっていた。


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