第91章 現代を楽しもう! ❀お花見編❀
「美しいというなら、私なんかより謙信様に似合う言葉ですよ?とても素敵だと思います」
陽光をはね返す綺麗な髪色も、二色の瞳も、恐ろしいくらい整った顔立ち、動作ひとつにしても、そこに居るだけで美しい人だ。
春の風景に負けないくらい素敵だと思う。
謙信「謙遜などいらない。お前は綺麗だ。俺が言うのだからもっと自信をもったらどうだ?」
「そう言われましても…」
謙信「越後に帰ったら俺の妻だとふれて回りたくなるほどに綺麗だと思っているぞ?
だが余計な視線がお前に向けられるかと思うと不快だ。だからこの胸に余りある想いは舞に囁くしかない。
舞がこの世で一番美しい花だと。お前だけを愛している、とな…」
「~~~、あの、あ、ありがとうございますっ!」
明らかに私より美しい人に熱く囁かれて、顔に熱が集中した。
両手で顔を覆ってしどろもどろにお礼を言った。
もう桜の花どころじゃない。顔が火でも吹き出しそうなくらい熱い。
謙信「ふっ、どうした?そろそろ愛らしい顔を見せて欲しいのだが?」
顔を覆ったままでいる私に謙信様がおかしそうに問いかけてくる。
(こうなっている理由を絶対わかっているくせに~)
「茹でタコになっているのでもう少しお待ちください」
小さく笑う気配がしてボートが動き出した。
流れる景色を横目で見ていると、顔の火照(ほて)りも少しずつひいていく。