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☆一夜の夢☆〈イケメン戦国 上杉謙信〉

第91章 現代を楽しもう! ❀お花見編❀


――――
――

謙信「舞、手を」


気まずい雰囲気のまま船着場に着き、先にボートに乗り込んだ謙信様が手を差し出してくれた。

思っていた以上に近い水面にごくりと唾を飲みこむ。

池の底は見えなくて、落ちたらどのくらい深いんだろうと余計なことが頭をよぎった。


(プールだと泳げるけど、池で泳げるかわかんないな)


不安が顔に出てしまっていたのだろう。
謙信様が軽く笑った。


謙信「この俺が舞を池に落とすようなヘマをすると思うのか?怖がらずにおいで」


後ろで順番待ちしていた女の子が彼氏に向かって『私もあんなふうに言われてみたい』なんて呑気な声で言っている。


(小舟を見ると戦を思い出すくらいだから謙信様は慣れているはず!)


謙信様を信じてボートに片足を乗せると、体重の分、ボートが沈んで揺れた。
内心『ひゃー』と叫びながら、もう片方を乗せた。


謙信「よくできたな。そのままゆっくり座れるか?」

「はい」


両手をとられて腰を下ろそうとしていると、謙信様の手が笑いに合わせて小刻みに震えた。


謙信「腰が引けているぞ。くくっ」

「小さい頃に乗ったきりなんですから、怖いんです!」

謙信「これでは奇襲できぬな?」

「しません!今日はデートです!逢瀬!わわ、ゆ、揺れてる~」


中腰でプルプルしていると謙信様がおかしくてたまらないという風に吹き出した。

さっき少しだけよそよそしくなってしまった私達にいつもの調子が戻ってきた。


謙信「ふっ…」

「も、もう!笑わないでください!」


謙信様は普段、声をあげて笑うことはしない。
今もクスクスと笑っているだけだけど、もう少しで声をあげて笑ってくれそうなところまできていた。


(うわぁ、謙信様の笑った顔、眩しい)


謙信「わかったから早く座れ。後ろがつかえている」

「はい」


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