第91章 現代を楽しもう! ❀お花見編❀
謙信「良いことを思いついた。舞がどうしても勉強したいというならば常に俺の横で勉強すればよい。
字の手習いや和歌は俺が教えてやろう」
(お仕事をしている謙信様の隣で勉強!?)
「いえ、それではお仕事の邪魔になります。お花やお茶などは、どなたか先生にお願いして教えてもらうのでしょう?
謙信様が気にしなくても家臣の方達が気にするのではないですか?」
謙信「問題ない。家臣達もそのうち慣れるだろう。姫になるための勉強などと気負わず、カルチャースクールのような気軽な気分で学べ」
「カルチャー…そんな軽い感じで良いのですか?」
こちらの言葉をサラッと出してこられると未だにびっくりする。
しかし仕事をしている人の隣で、そんな軽いノリで習い事をするのはますます気が引ける気がした。
(それこそ型破り姫なんじゃないのっ!?)
それを思いつくあたり謙信様も型にはまった人じゃない気がするけど。
謙信「良い。今のお前のままで良いと何度も言っているだろう」
謙信様の手がゆっくりと伸びてきて、あと1センチでその温もりを感じられると思った時……
龍輝「パパ、ママ!結鈴を連れてきたよ!行こう!」
結鈴「龍輝!今、絶対パパとママの邪魔したよ」
龍輝「なんのこと?」
謙信「………」
「ぷふっ、じゃあ、行きましょうか」
謙信「半分俺の血が流れているというのに、なんと鈍い奴だ」
ボソッと呟かれた言葉にまた笑いがこみあげた。
スワンボートは三人乗りだったので二組に分かれた。
私に触れそこなった上に、ボートにも一緒に乗れず、謙信様は渋い顔をしている。
(ふふ、こういうところがまた可愛いなぁ)
謙信様と結鈴が乗る直前に耳元で囁いてあげた。
「あとで手漕ぎボートに一緒に乗りましょうね、謙信様」
謙信「ああ、もちろんだ」
その一言で嬉しそうにしてくれた謙信様に胸がキュッと締め付けられた。