第91章 現代を楽しもう! ❀お花見編❀
――――
――
「ふふ、二人共楽しそうですね」
謙信「こちらの世はどこに行っても子供が遊ぶ場が設けられているのだな」
私達の視線の先で龍輝と結鈴がふわふわドームで跳ねては走り、転んでは滑り落ち、笑っている。
「遊具を通してバランス感覚や脚力を養えるんですよ。謙信様のいた時代では信じられないかもしれませんが『子供は遊ぶのが仕事』と言われています。
考え方が違うので戦国時代に行った時に、あの二人が戸惑わないか少し心配なんです」
戦国時代の子供達は家の手伝いをしている子達が多い。小学生くらいの年齢の子でも普通に店先に立っているし、農作業に加わって重い荷物を懸命に運んでいる姿も珍しくない。
安土城の中でも武家の子供達が勉学や鍛錬に励んでいる姿を見た。
謙信様は上杉家をまとめる人だ。
後を任せたとは言っても、越後に帰れば春日山の人達が放ってはおかないだろう。
謙信様の子供ともなれば期待も高まるだろうし、現代で伸び伸びと過ごした二人にはハードルが物凄く高いのではと心配している。
謙信「龍輝がどう思うかわからんが、あいつに上杉を継がせる気は今のところない。
あの時代で生きるための必要最低限の知識は学ばせるが、あとは好きに生きれば良いと思っている。
結鈴も同様だ。決して家同士の繋がりのためにと道具のように嫁がせたりはしない。この時代のように、自由に、好いた男の元へ行けばよい」
そう言いながら渋面(じゅうめん)を作っている。
結鈴が結婚するのなんてまだまだ先のことなのに今からこんな顔をしているなんて。
謙信様の意見を聞いてホッとしたのも束の間、クスクスと笑いがこぼれてしまった。
「ふふ、お嫁にいくまではしばらくありますよ。そんな顔をしないでください」
謙信「あちらに行けば14、5歳で婚姻を結ぶのが普通だぞ?
10年をきっている。舞と離れ離れになっていた5年の月日が今更ながら惜しい」
「あと10年で結鈴が……?お嫁さんに?」
信じられなくて結鈴を見ると、飛び跳ねすぎてシャツがズボンからはみ出て、ちらちらとピンク色のパンツが見えている。
(あのパンツチラ見えの結鈴が…?誰と?)
想像できない。