第91章 現代を楽しもう! ❀お花見編❀
「いえ、そんなことないですよ。ちゃんと完治してから帰りましょう。
こうして現代を楽しめるのも貴重な経験ですので、お二人にはいろんなことを見聞きして欲しいと思います」
こちらにいる間は『武将』をお休みできる。戦国時代に戻ってしまえばそんなことはできないだろう。
(自分のために時間を使って、穏やかに優しい時間を過ごして欲しいな)
心秘かにそう思っていた。
謙信「その通りだな。南蛮の言葉を学ぶにしても戦国の世よりもこちらで学んだ方が効率は良い。
信玄の療養ついでといってはなんだが、学ぶ良い機会だ」
信玄「珍しく謙信が優しいな」
謙信「『ついで』と言ったはずだが」
素直じゃないんだからとくすっと笑っていると、信玄様と目が合った。
『同感だ』というふうにパチンとウインクされた。
「っ」
(信玄様のウインクは様になり過ぎて心臓に悪い!)
信玄様が私にウインクしたことに気付かず、謙信様が怪訝そうな表情をしている。
謙信「どうした、舞。少し顔が赤いようだが熱でもあるのか?」
信玄様は知らないふりをして前を向いたけど、口の端が少しだけあがっている。
「いえ、何でもないですよ。あ!あそこに佐助君と龍輝達が居ますよ」
佐助君が先に出発して場所取りに行くと言ったら、子供達も一緒に行くと言い出したのでお任せしてしまった。
50mほど離れた日当たりの良い場所で、佐助君と子供達がブルーシートを広げて、飛んだり跳ねたりして遊んでいる。
「結鈴と龍輝はお花見が初めてなんです。ふふ、はしゃいでるなぁ」
子供が生まれてからは車の中から桜を見るだけで終わっていた。
こうしてゆったりとした気持ちでお出かけできるのも皆が居てくれるおかげだ。