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☆一夜の夢☆〈イケメン戦国 上杉謙信〉

第91章 現代を楽しもう! ❀お花見編❀


(姫目線)

「わあ…綺麗」


車から降りて直ぐに、私は感嘆の息をもらした。

大きな池の周りに植えられた桜の木が一斉に咲き誇っている。満開には少し早いといったところで、伸びた枝に隙間なく花がついている。

遊歩道を歩きながら桜を見ている人も居れば、敷物を敷いて楽しんでいる人達も居る。



寒い季節はいつの間にか過ぎ去り、卒業・入学シーズンを迎えた頃、私達は佐助君の提案で、近所の公園にお花見に訪れた。

左隣を歩いている謙信様が桜を眺め、目元を緩ませている。


謙信「俺が知る桜の種類とは少し違うようだが、美しい桜だな」

「ソメイヨシノという桜ですので、あちらの時代にはない品種です。春日山城にも桜の木はあるんですか?」

謙信「ある。大広間の戸を開け放てば、桜を愛でながら執務ができる」

「仕事中でもお花に癒されるなんて素敵ですね」


吹く風はもうすっかり春の暖かさを帯びていて、花や、土、緑の香りがした。
美しい景色を前に、春の空気を胸いっぱいに吸い込んだ。


信玄「春日山の桜は古い山桜だがそれは美しく咲くんだ。姫にも見せたいな」

「そうなんですね。私も見てみたいです!
 桜だけじゃなく越後がどんなところなのか、謙信様のお城がどんな感じなのか。
 謙信様から聞いては居るんですけど、直に見てみたいです」

謙信「俺も早く見せたいものだ」


桜を見ていた二色の瞳が優しげに細められた。


信玄「すまないな、俺の病に付き合わせてしまって」


右隣を歩いている信玄様は昼食を入れたバスケットを持ち、悠々と歩いている。

手術は成功したけれど、秋ごろまでは経過観察することになっている。

といっても健康そのもので謙信様と一緒にフェンシングの練習をしているし、毎日ではないけれど朝の鍛錬にも参加している。

食事の量も退院直後よりも増えて、病気を抱えていた以前よりも身体がしっかりしてきた。

早く越後に行きたい気持ちはあるけれど、今は信玄様が健康を取り戻し、生き生きとしている姿を見られる嬉しさのほうが勝る。


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