第90章 現代を楽しもう! ❀謙信様の誕生日編❀
謙信「俺は………歳だ」
「え!?そうなんですかっ!へえ~~~、ふーん。
意外なようなそうでもないような…」
謙信「年齢を聞いただけで随分と楽しそうだな」
「だってまたひとつ謙信様のことを知ることができましたから!じゃあ私の歳は………」
約束通り年齢を教えると、謙信様も嬉しそうに笑った。形の良い唇が緩いカーブを描いている。
謙信「なるほどな。歳などどうでも良いと思っていたが、お前のことを1つ知れるというのは悪くない気分だ。
それにしても舞は………」
まじまじと顔を覗き込まれる。
「な、なんですか?」
謙信「いや、なんでもない。いつも愛らしい顔をしているなと思っただけだ」
「…………やだ、謙信様ったら」
優しく瞬く眼差しが本心だと教えてくれる。
不意打ちに落とされた言葉に心臓を射抜かれて息が止まりそうになった。
膝の上に抱かれ、真っ赤になった私を謙信様がおかしそうに見ている。
「うぅ…そうやってじっと見つめられて瞬(まばた)きされるだけでとろけそうになるのに、甘い言葉を囁かないでくださいよっ!」
(もう!ほんとに鼻血でちゃうっ)
赤くなった頬を手でパタパタ扇(あお)ぎながら抗議すると、謙信様もほんのりと頬を染めていた。
「謙信様、どうしました?」
謙信「『息をしているだけで格好良い』の次は、瞬きするだけでとろけそうとは……」
悩ましげな表情で口元を覆っている。
「ま、前から言ってるじゃないですか!謙信様が何をしても私は惑わされるんです。
たとえ瞬いてくれなくても、その…」
(う、またバカップルみたいになっている…)
当事者が気づくくらいだから、傍に居る信玄様達は余程のことだろう。
ごめんなさいと謝りたくなった。
謙信「瞬かずにこうして見つめたら、どうなるのだ?」
膝の上で抱かれて動けない私に、わざとらしく顔が近づけられる。
好きで好きでたまらない謙信様に見つめられて、なんだか良い匂いもするし、慌てて手をついた先には筋肉質の硬い胸の感触がする……
(ひゃーーーー!!!)