第90章 現代を楽しもう! ❀謙信様の誕生日編❀
謙信「俺の生れ年はこの時代には間違って伝わっているようだからな。お前にはいくつに見える?」
「年齢不詳に見えるから聞いてるんです」
醸し出す雰囲気といったらそれは大人な雰囲気で貫禄があって…。
でも佐助君を追いかける動作はしなやかだし、時々突拍子もないことをするあたり、まだそう歳をとっていないようにも思える。
(信玄様よりは若いよね…)
答えないと謙信様は教えてくれない空気だったので、うーんと唸って予想を口にする。
「25、26歳くらい…でしょうか?」
謙信「ならば25、6歳だと思っていろ」
「えっ、教えてくれないんですか!?」
謙信「歳などいちいち数えていない。お前は何故そんなに俺の歳を気にしているのだ?」
『生まれ年が間違って伝わっている』と言うなら、正しい生年月日を知っているということだ。
……ご自分の年齢もわかっているはずなのに教えてくれない。
「ずっと気になっていたので聞いてみたかっただけです」
謙信「……隠し事は好かんな」
謙信様の声が低くなり、お酒がはいった盃がテーブルに置かれた。
二色の瞳がひたりと私を捕える。私の奥底に隠れている真実を追求しにかかっている。
謙信「舞、ならばお前の歳はいくつだ?」
「っ」
痛い所をぐさりと刺された。
こっちに帰ってきてから5年。私は5歳も年をとってしまった。
長屋で一緒に過ごしていた時は「少し年上の方なのかな」程度に思っていたけど、現代で再会してからは妙に年齢が気になってしまった。
(もしかして私の方が年上だったり………する?)
精神年齢は絶対謙信様の方が上で、年齢だけが私の方が上なのだろうかと気になっていた。
「謙信様が教えてくれたら、教えます」
別に年齢なんて関係ないって思っているけど、ふとした時に気にかかる。
謙信「耳を貸せ」
「わわっ」
あっという間に身体を引き寄せられ、膝の上に乗せられる。
こういうことを難なくこなすから…まいってしまう。
謙信様の吐息がふと耳にかかった。