第90章 現代を楽しもう! ❀謙信様の誕生日編❀
謙信「お前達と舞に祝われて嬉しい。ありがとう。
こうして4人で過ごす初めての誕生日だ。一生心に残るだろう」
そう言って子供達を見る表情は本当に穏やかで、優しかった。
長屋で過ごしていた時につきまとっていた影はどこにない。
(ふふ、良かった)
ケーキを皆に配っていると佐助君が複雑そうな顔をしていた。
佐助「信玄様と俺も居るのに『4人で』と言われてしまった…」
「気にすることないよ。今日のこと、6人でお祝いしたって覚えていてくれるよ。
だって謙信様って頭凄く良いし!私と交わした会話を一言一句間違わずに覚えているんだもん、びっくりしちゃうよね」
信玄様と佐助君が一瞬動きを止め、同時に吹き出した。
信玄「謙信の頭が良いのは知っているが、交わした会話全てを記憶しているのは相手が姫だからじゃないかな」
佐助「さらりと惚気るなんて舞さんも侮れないな」
「の、のろけっ!?いや、そんなことない、ない!」
信玄「いや、今のはまさに惚気だ」
佐助「ハートの桜でんぶが甘いな」
「普通のでんぶですっ!もう!!」
謙信「………舞、誕生日なのに俺の傍に居てくれないのか」
振り返ると子供達はご飯を食べ始めていて謙信様がちょっぴり寂しそうにしている。
「わ、わっ!すみません、今すぐ行きます!」
急いで隣の席に座ると腰に手が回った。
謙信「目を離すとすぐ居なくなる。ずっと傍に居ろ」
「少し離れても直ぐに戻ってきますから心配しないでください」
謙信「…ひと時も離れるなと言っている」
(いやいや、そんなのムリムリ)
胸の内でつっこみを入れていると美しい顔に凄みが増した。
謙信「いうことを聞かないなら……」
目が据わっていても格好良い顔が近づいてくる。
(えっ、えっ、まさか、ここで……)
逃げようとすると腰に回った手にがっちりとホールドされている。
このままじゃ、こんな所でキスされちゃう!と顔を背けた拍子に……小さな4つの目とぱちりと目が合った。