第90章 現代を楽しもう! ❀謙信様の誕生日編❀
謙信「舞?見惚れるのは大概にして返事をしろ。わかったか?」
「う、そんなことないです」
謙信「見惚れていないと言い切れるのか?」
眼鏡越しに見える二色の目が意地悪で、また思考を読まれてしまったみたいだ。
「見惚れていません!気をつけて行ってきます!!」
謙信「こら、さっきより気を荒ぶらせてどうする?悪かった、機嫌を直せ」
おでこに口づけが降ってきて、ぎゅっと抱きしめられた。
謙信様に抱きしめられると、嫌なことは全部忘れてしまう。
(我ながらなんて単純……)
「すみません、つい。もう…謙信様が素敵すぎるから駄目なんです」
謙信「なんだその理由は。駄目なのか?」
「駄目じゃないですけど。むしろ…」
良いんですけど、と言いそうになってハッとする。
(こ、これだから佐助君と信玄様にばかっぷるって言われちゃうんだ!)
「駄目じゃないです。うん、駄目じゃない。
そのままでお腹いっぱいです」
ばかっぷるにならないよう気をつけたら変なことを口走ってしまってた。
謙信様がクツクツと喉を震わせた。
謙信「あいにく俺は食べ物じゃないぞ?
ああ、でも食べるという点では舞を食べ足りない。今すぐにでも食べたいくらいだ…」
声に色を滲ませて、おもむろに眼鏡をとるとソファに置いた。
抱き締める腕に力が入って身動きが取れなくなる。
(あ、まずい)
謙信様がこんな感じで眼鏡をとる時は…
「…んっ」
啄むような口づけの後に、もう一度形のよい唇が寄せられた。
入り込んできた舌に舌を絡ませていると、リビングには吐息と濡れた水音が響き、身体の熱が急上昇した。
「ん……ぁ」
熱い唇が離れていくのが寂しい。
恨めしくなって謙信様を見ると、私の反応を愉しむかのように笑っている。