第90章 現代を楽しもう! ❀謙信様の誕生日編❀
謙信「そんなに驚かなくとも良いだろうに。昼間から何をそう唸っていたのだ?」
「えっと、明日の昼のお弁当は何にしようかと…」
咄嗟に誤魔化した。
籍も入れていないし、結婚式もあげていないけど、これでも『一応』妻なのに誕生日を知りませんでしたなんて言えない。
謙信「さっき昼食をとったばかりなのに、もう次を考えているのか?」
二色の瞳がすっと細められた。
(う、この目、絶対疑われてる…)
「早めに考えておかないと解凍が必要な食材も……あっ!!」
『解凍』から連想して閃いたのは、先日買い物をしている時に見かけた張り紙。
突然言葉を切って興奮し始めた私を、謙信様が更に不審げに見ている。
でもそんなのは気にしていられない。
時計を確認する。
(よし、子供達のお迎えまで時間がある!)
閃いた誕生日プレゼントを早く予約しに行きたい。
「急に買い物を思い出しました!買い物をして、そのまま龍輝達をお迎えに行ってきますね。いってきます!!」
早速バッグを持って出かけようとすると、謙信様の腕が伸びてきて腰を捕えられてしまった。
謙信「そのように慌てて行くと不要な怪我を呼ぶぞ。気をつけて行ってこい」
眼鏡越しに見つめられ胸がドキッとした。
(眼鏡の謙信様、素敵……)
普通にしていても知的なイメージだけど、眼鏡をかけると猶更だ。
でもそれ以上のよくわからない理由で、格好良さが際立ち、見るたびに性懲りもなく胸がざわめく。
(どの角度から見ても格好良いんだよね、謙信様…)
ひそかに胸をときめかせていると、案の定、見透かされてしまった。