第89章 最終章 3人一緒
頭に大きな手が乗って、心地良さに目をつむった。
??「こーら、二人で何をコソコソしてんだ?お兄さんにも教えてくれよ」
「ふふ、今、信(しん)にちょっとした旅行に誘われてたんだよ。秀兄」
信「おい」
勝手に話すなとでも言いたげに視線で責められた。
秀兄「へぇ、それは聞き捨てならない話だな。
俺の可愛い弟が不純異性交遊に走らないように俺もついて行こうかな」
信「っ、何が不純異性交遊だ!お前の方がとっかえひっかえしてんじゃん!」
秀兄「勝手に寄ってくるだけだ。お茶飲んだり出かけたりするけど、誰にも手はつけてない。
なんたって俺には本命が居るからな」
女の子なら誰しも蕩けちゃうだろう笑みを浮かべて笑いかけてくる。
「?」
秀兄「ふ、そろそろ本気になんないとな、信。俺達、ライバルだな?」
信「うざったいから肩に腕をまわすな!」
秀兄「実の兄に向かってつれないな。でも二人で旅行ってのは本気でいただけない。
母さん達にも言ってないだろう?どういうことなんだ?」
背が高い秀兄は屈んで私の顔を覗き込んでくる。
穏やかな表情にはどこにも責める気配はないけど、真剣だ。
秀兄は信のお兄さんで、小さい頃から三人でよく遊んでいた。
信とは性格が全然違う。穏やかで優しい秀兄はいつも話を聞いてくれて、なんだか安心できる。
容姿だって整ってるし、女の子にもてるのがよくわかる。
すっと肩から力が抜け、信の話を聞かせた。