第89章 最終章 3人一緒
?「水崎舞っていう名前を頼りに探したら、その女性も子供二人と一緒に500年前に姿を消しているんだ」
「……てことはその三雲佐助と、舞さんは一緒にタイムスリップしたってこと?
その子供達は三雲佐助との子供なの?」
?「戸籍に父親の名はなかった。
興味深いのは三雲佐助は一度行方不明になり、数年後突然姿を現している。
けど舞という女性が行方不明になった同時期にまた行方不明になっているんだ」
500年前の詳細な個人情報をどうやって仕入れたのか…。
隣を歩く幼馴染がちょっと怖くなった。
緋色の瞳が気分の高揚に相乗するように赤みが強くなった。
?「三雲佐助は時を渡り歩いた可能性がある」
「……なんでそう思うの」
?「タイムスリップする条件としてワームホールの発生は不可欠。
俺は発生する場所、時間を導き出す計算式を考え付いた。
その式を応用すれば、過去の発生時期、確率もわかる。
500年前、異常な高確率でワームホールが発生した形跡があったんだ。しかも頻繁に」
適当な相槌をうてないほど幼馴染が言う内容は真実味を帯びていた。
?「500年前と同様、1000年前にもワームホールが何度も発生した形跡があった
おそらく三雲佐助は500年前と1000年前を行き来したんだ」
スケールが大きすぎて眩暈がした。
1000年前って……戦国時代ってこと?
?「500年前にできたなら俺にもできる。
500年前に行き、三雲佐助の秘密に迫りたい。そして舞という人物も…。
自然界にしか存在しない希少物質を保有した人間がワームホールにどんな影響を与えるか知りたい」
「う…」
?「それに俺の予想が事実なら、500年前、それよりももっと……もしかしたら千年前から現在に繋がる全ての物事は三雲佐助や水崎舞がタイムスリップしたことによって、変えられたものかもしれない」
ギラッと光った目が私を射抜いた。
(?)
?「そして舞という女性はお前の先祖だ」
「……………は?」
難しい話についていくのに必死だったのに、変なことを言われて頭が真っ白になった。