第88章 幸せを願う
三成「っ」
ざわりと心が揺れた。
黒い生地に使われた黒い糸をよく見る。
繊細な縫い目に見覚えがあった。
『三成君大丈夫!?あ、転んだから袖が破れちゃってるよ。すぐ直してあげる』
…………この香り
『信長様から献上品の香油を頂いちゃった!他にもあったけど私はこの香りが好き。
どう?いい匂いでしょ?』
(舞様っ!?)
三成「三の姫様っ!!この着物と一緒に政宗様から文は届いていませんか!?」
三の姫「は、はい」
私の剣幕に驚き、三の姫様は袂からいそいそと文を取り出した。
三成「ありがとうございます。三の姫様もご自分の着物を着てみてくださいね」
三の姫「はい、ではお言葉に甘えて」
敏い三の姫様は傍仕えの女性と話し、子供達を引き連れて隣室に移動してくれました。
(気を使わせてしまったな)
申し訳なく思いながらも、手紙を急ぎ開いた。