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☆一夜の夢☆〈イケメン戦国 上杉謙信〉

第88章 幸せを願う


「あの…大丈夫ですか?」


香りを嗅いだまま動けなくなり、私を心配してお客様が声をかけてきた。


(いけない)


それからは頭を切り替えて、さっき嗅いだ香りをイメージしてアロマオイルをブレンドしていった。

何種類かサンプルを作成しても直ぐには納得がいくものができず、お客様の希望を教えてもらい、日にちを改めてもらうことにした。

その日の営業が終わり、心を落ち着けてブレンドしていく。

不思議なことに、あの香りを嗅いだ時のことを思い出すと、勝手に手が動いた。

沢山あるオイルの中から数種類を選別し、割合もそう何度も繰り返さないうちにイメージ通りのものができた。


こんなことは今までで一度もない。


断片的に見えた男の人が、私の中で確たる存在であるかのように、似合う香りが直ぐにわかった。

出来上がったアロマオイルを、薄氷を思わせる小瓶に入れた。

何故かはよくわからない。
でもなんとなくお客様のご主人にはこの色が似合う気がした…。


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