第86章 信長様の誘い
ハンカチとグローブはたまたま偶然高値で売れただけかもしれない。
遠い異国に足を運んで、大量の生地とどう向き合えば良いんだろう。
漠然とした不安に襲われる。
謙信「つまり信長の誘いの目的は舞なのだな」
佐助「いえ、謙信様達にも来て欲しいと言っていました。
信長様が居る国は今、近隣の国と領土を巡って争っています。
国が乱れて流通が滞れば舞さんがいくら良い物を作っても広まりません。現に、食料以外の流通は細々としたもので、国民は芸術や嗜好品は二の次で戦の火の粉を避けることでいっぱいです。
謙信様達には国の乱れを、陰ながら正して欲しいと言っていました。
信長様と光秀さんは商人と懇意にしていた貴族と親交を持ち、国軍の兵を指導していました」
「………え?」
あいた口が塞がらなかった。
西洋の戦争は火薬を使ったものが主流だろうに、日本から行った信長様や光秀さんが何を教えているんだろう?
それは謙信様と信玄様も同じように考えたようだ。
信玄「信長達は何を指導しているんだ?」
佐助君が誇らしげに胸を張った。