第86章 信長様の誘い
佐助「主に諜報関係についてです」
謙信「諜報?」
佐助「ええ。西洋にもスパイといって忍や間諜の役割の人達は居ますが、日本の忍びのような身体能力・技術を有している人はいません。
主に光秀さんですがその知識を教え、西洋初の忍びの集団を作ろうとしています。
ただ信長様と2人でできることは限られています。
座学以上に様々な実践や経験が必要なのに、そこまでできていないのが現状です」
佐助君は謙信様と信玄様を見た。
佐助「謙信様と光秀さん、蘭丸さんと俺に実践を、信長様、信玄様には座学をと考えているようでした。
幸村、君については船上から見ただけではっきりとしたことがわからなかったから役割がまだないんだ。
けど幸村が来れば兵士達に槍の訓練をお願いすると思う」
幸村「別に俺じゃなくても良くないか?西洋にだって槍の手練れはいるんだろ?」
佐助「もちろん。でも剣術がそうであるように、日本の槍と、西洋の槍だと使い方が異なる場合がある。
西洋の槍使いに東洋の槍の使い方を仕込めば、アドバンテージになる」
幸村「は?アドバン……なんだって?」
佐助「優位になるってことだ。手段をたくさん持ち合わせていた方が戦いでは有利になるだろう?」
幸村「そういうことか、ったく最初から日本語で言えよ」
面倒そうに幸村が頭を掻いて、佐助君が『ごめん』と小さく謝った。
佐助「信長様達はあくまで裏方で、戦争に出ないという契約で軍に関わっています。
軍に関わることで歴史が変わる可能性もありますが…手探りで今はそうしています」
再び部屋に沈黙がおりた。
佐助君の話のスケールが大きすぎて、頭がついていってない。
「佐助君、私はすぐ答えが出せない。
2週間しかないのはわかってるけど、時間をくれないかな」
佐助「もちろん。皆さんも考えてみてください」
その場は一旦お開きになり、夜には佐助君の無事帰還を祝ってささやかな宴をひらいた。