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☆一夜の夢☆〈イケメン戦国 上杉謙信〉

第85章 依頼主からの文


行商人「いえ、聞いた感じでは実のお子さんだと思います」

??「その女、時々聞いた事のない言葉を使ったりしないか?」

行商人「時々南蛮人のような言葉をもらされることがあります」


行商人の話を聞けば聞く程、着物を見れば見る程『あの女』だと確信する。

年齢だけは納得できなかったが。


??「お前の売り物を全部買い上げるから、京には行かず、すぐ蝦夷に行ってくれないか?」

行商人「はあ、それは構いませんが…」

??「すぐとは言ったがその前にお前に頼みたいことがある。俺の城まで来てくれ」

行商人「し、城でございますかっ?あなた様はもしや…」


『城』と聞いて、行商人は眼帯をした武士に確信めいたものを感じた。


政宗「ああ、俺は伊達家17代目当主 伊達政宗だ。
 ま、今は18代目に当主の座は譲っちまったがな。気楽な隠居生活だ」


行商人は予想が的中したことに恐れおののき、その場に伏した。


政宗「そんなに畏まらなくていい。
 小十郎!この行商人を城に連れて行くからお前の馬に乗せてやれ!
 あとここにある小物、着物類は全て買い上げた。城に行ったら支払いを頼むぞ」


白髪の家臣が短く返事をしたところで、政宗は乗ってきた馬にひらりと乗った。


小十郎「殿!まさかっ…」

政宗「その『まさか』だ。俺は一足早く帰って用意したい物がある。
 先に行っているぞ、はっ!」


政宗は不敵な笑みを浮かべ馬の腹を蹴ると、あっという間に去っていった。


小十郎「あぁ、供もつけずに!おいっ、誰か殿を追いかけろ!
 まったくお年を召しても殿はちっとも変わらない、はぁ」


政宗が去っていった方を見ながら小十郎はため息を吐いた。


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