第84章 結ぶ
(けど三成と俺が同じような時期に謎の病にかかったこと、それを隠蔽されたこと、目が覚めたのが大戦の後だった、という共通点が解せない)
三成「私達がどちらか片方でも病に臥せなければ、あの大戦(おおいくさ)は回避できた可能性があります。
誰かがあの大戦を起こしたいがために、私達に毒を盛った…ということでしょうか」
そう言いながらも、三成の顔は冴えない。
(毒を盛られれば、私や家康様ならすぐにわかったはず…)
家康「熱が上がる前も、臥せってからも気をつけていたけど毒を盛られた可能性は低い。
それにあんな症状を起こす薬を俺は知らない。
仮に毒だったとしたらあんなに長期間、定期的に摂取させられて、後遺症もなく突然快方に向かったっていうのはおかしい」
家康は未知の薬の可能性を考え、既存の薬の他に南蛮から渡ってきた薬についても調べた。
しかしどの薬も、今回の症状と重なるものはなかった。
三成「薬学に詳しい家康様がそうおっしゃるなら、毒の可能性は薄いのでしょう。
あの大戦を起したい人間は特定したくとも、その殆どが死んでしまいました。豊臣家側には、あの戦を仕掛けたいと思っていた者は…悲しい事にたくさんおりました」
家康「徳川の人間もあの大戦には大多数が賛成だった。
徳川が天下をとる時がきた、ってね」
家康はため息をついた。