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☆一夜の夢☆〈イケメン戦国 上杉謙信〉

第5章 看病三日目 護身術と誓約



「っ!」


薄茶の目が驚きで見開かれたと思えば瞬時に曇った。


「っ、どうしてそんな辛そうな顔をするんですか?」


(どうして?そんなことはわからぬ)


義理や人情では説明がつかないモノが『お前を守りたい』と叫んでいる。
それを知られたくないのに察しろなどと勝手なことを考えている。

顎を捉えた指から舞の温もりが伝わってくる。
揺れ動く薄茶の眼差しを見ていると……酷く心が乱された。


(この感覚はなんだ。芽吹いたモノが、花開くような……)


正体を探っても、知ってはいけないと古傷が俺の目を逸らさせる。
だがわからずとも変化はおきた。

古ぼけた一室。
粗末なものしか無い部屋が突然色をつけたように輝いて見えた。


(っ!?)


改めて舞を見て………愛らしい表情に目を奪われた。


(この女はこんなに綺麗だっただろうか?)


謙信「舞、俺は…」


何を言おうとしているのか自分でもわからない。
だが切羽詰まったように、言葉を届けたくてたまらなかった。


「謙信様…」


顎をとらえられたまま舞が口を開いた。
その続きを聞きたくて胸が締めつけられた。


紅をひいていないにも関わらず綺麗な色をしている唇が、次の言葉を発しようとした時、外を子供が駆けていった。

互いに夢から覚めたようにはっとした。


(今のはなんだ?夢の中にいるような心地だった…)


少し早くなっている鼓動を落ち着かせる。
瞬きを繰り返して見れば部屋も変わったところはない。輝いて見えたのは気のせいだったようだ。


舞は言いかけた言葉の先を言うでもなく、その日は難しい顔をして俺に近づいてくることはなかった。


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