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☆一夜の夢☆〈イケメン戦国 上杉謙信〉

第1章 触れた髪


やがて注文した品々が運ばれてきた。
謙信様は口の両端を吊り上げ徳利を見ている。


「ふふ、謙信様は本当にお酒がお好きなんですね。お注ぎします」

謙信「ああ」


差し出された盃に静かにお酒を注ぐと、謙信様はそのまま盃を口元へ運んでいき、一気に飲み干した。


「まあまあだな」


(まあまあ?)


その表現に一瞬不安になったけれど、謙信様の顔を見て胸をなでおろした。

謙信様は満足げな笑みを湛えてた。

無関心な顔、物憂げな顔、鋭く睨みつける顔。そんな謙信様ばかり見てきたので、お酒を飲んで浮かんだ満面の笑みには…もの凄い破壊力があった。


(笑った!あの謙信様が!うわぁ、素敵だな)


目を惹く容姿をしているけれど、身に纏う雰囲気や威圧感でつい恐れの方が勝ってしまっていた。
初めて見たその笑顔に釘付けになる。


謙信「茶屋でこのようにうまい酒を飲めるとはな」


謙信様の様子に私は嬉しくなって言う。


「お口に合ったみたいで良かったです」


私はすぐに空になってしまう盃にお酒を注ぎ、謙信様は機嫌よく盃を傾けた。


(意外と感情表現が豊かなところもあるんだ…)


謙信様がもう一つの盃にお酒を注ぎ、私に差し出して言う。


「何を呆けている。お前も飲め」

「あ、ありがとうございます」


私は笑顔で盃を受け取り、お礼を言った。


(期間限定もののお酒!謙信様が気に入ってくださったお酒はどんな感じかな)

ワクワクしながら盃に口をつけ、それを飲み干す。


「美味しい!」


謙信様は手酌で酒を飲み始めていて、私の方をチラリと見て


「ああ、そうだな」


と微笑んだ。


(怖いとばかり思っていた謙信様が…笑ってる。はぁ、目の保養…)

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