• テキストサイズ

☆一夜の夢☆〈イケメン戦国 上杉謙信〉

第81章 不思議な夢


雷を使って国へ帰った舞。

その後、どんなに手掛かりを探しても何もみつからなかった。
まるで舞という人間がこの世に居ないかのように…。


(舞はもしや……この時代の人間じゃないのか)


どんな夢なんだ、と秀吉はこめかみを押さえて平静を保つ。


『今度はたくさんの幸せに囲まれて暮らそうね。
 秀吉さんに幸せになってもらいたかったよ。
 死ぬ瞬間に『幸せだった』って思って欲しかった…』


(俺が幸薄い人生だったって知ってるんだな…)


500年後の人間なら過去の…豊臣秀吉の最後を知っていても不思議ではない。

今更どうあがいても格好のつかない自分に目線を落とした。


『せめて秀吉さんの願いは叶って欲しい。叶って欲しかった…』


(願い?俺の願いってなんだ)


少し前にも感じた焦燥感。


(自分の願いを忘れるなんてあるのか?)


必死に考えを巡らす。

夢とか現(うつつ)云々ではなく、思い出さなくてはいけない。



信長の言葉を思い出す。



『三人で話したあの時を忘れておらぬなら……あやつの望みは先の世へつながるやもしれん』


(信長様と舞と俺の三人で話した…?
 何を話した…?)


衰えた脳は働きが鈍い。

苛立っていると舞が居た頃の記憶の中で、『ここだ』というように眩しく光るものがあった。

秀吉はその記憶に手を伸ばす。

それは何故忘れていたのかわからないくらい大事な、大事な記憶だった。



/ 1735ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp