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☆一夜の夢☆〈イケメン戦国 上杉謙信〉

第81章 不思議な夢


(第三者目線)


秀吉はまだ夢を見ていた。

信長が笑ったところで場面は変わり、見回すと室内ではなかった。

白波のたつ海を見ながら砂浜を歩く舞が居た。
どの場面もそうだったが、何故か舞の顔だけがよく見えない。

舞は赤子を背負うのではなく、見たこともない紐で前抱きして、ぐずぐずと泣いている赤子をあやしている。


「よしよし、信長様達が居なくなって寂しいね」


あやす声は涙声だ。


(寂しいって思っているのはお前だろ、舞…)

(ああ、頭を撫でてやりたい。俺はここに居るのに)


潮風にあおられて長い髪が空を舞う。
日を透かし、薄茶の髪は金色(こんじき)に輝いている。


(綺麗だな……)


安土に居た頃の自分に戻った気分だ。

年老いて死にそうな爺だというのに舞の美しさに目を奪われる。


「秀吉さん人形、受け取ってもらえて良かったな。
 なんだかんだ言って、気に入ってくださったみたい」


(っ、そうなのかっ!?)


まったくもって心が忙しい。自分で呆れるくらいだ。
夢の中だから、己の気持ちを取り繕わなくてもいいと安心しているせいだ。

舞は砂浜に残った足跡を振り返り見て、何事か思い耽(ふけ)っている。

思考が秀吉の脳に響いてきた。


(舞が考えてることが、響いてくるっ!?)


直接響く柔らかな声。


『秀吉さん……道は分かれてしまったけど、来世でまた会おうね』


(舞は俺が死にかけてるって知っているのか?それか死んだと思っている?)


『未来の日ノ本はね、戦も身分もないの。自由なんだよ、秀吉さん』


(未来……?先の世のことをなんでお前が?
 そういえば信長様も『500年後』がどうとか言っていたな…)


そこまで考え、まさかと息を呑む。


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