第81章 不思議な夢
「結鈴」
結鈴「なに?」
誰にも聞かれないように結鈴を招き寄せて耳元で囁いた。
「その織紐ね、光秀さんから貰ったものなの。
内緒にしてくれるなら結鈴にあげる」
結鈴「えっ!!!?ほんと?!欲しい!!
内緒にするっ!」
(この顔、光秀さんに見せたかったな)
現代からワームホールに飛び込む直前、幾つかあった織紐から、結鈴は光秀さんの織り紐を選んだ。
あれも何かの運命だったのかもしれないと思えた。
「あとね、光秀さんがきゅーすけを連れて行っちゃったの。
きゅーすけが光秀さんの着物の中から出てこなくて…。
光秀さんが、わるたんときゅーすけを交換だって言っていたよ」
悲しむかと思ったら、全然そうじゃなかった。
結鈴「え!?きゅーすけ、みつひでさんの『おとも』になったんだね!良かった~~」
(ん?そういえば信長様も『お供』がどうのこうのって言っていたような…)
何のことか見当がつかない。
「きゅーすけが居なくなって寂しくないの?」
結鈴「ちょっと寂しいけど……でもいいの、へへ、嬉しいなぁ」
事情はわからないけど、信長様がいう通り結鈴は悲しむどころか満足そうにしていた。
結鈴が良いなら良いけど…私は突然居なくなってしまって、少し寂しい。
「今頃、光秀さんの着物の中でぬくぬく寝てるんだろうな…」
結鈴「羨ましいなぁ、きゅーすけ」
結鈴は光秀さんときゅーすけを想っているのか、青空を見上げて笑った。
悲しい涙が止まって良かった。