第81章 不思議な夢
「ご飯にいろんなものが混ざっていてそれだけ食べればいいっていう手軽さではちまきは好きだったのかな……。
いつか会えたら聞いてみたいね」
結鈴の顔が曇った。わるたんと睨めっこしている。
結鈴「いつか会えるかな……」
「ママもね、このまま会えないなんて嫌だなって思うの。信長様も光秀さんも佐助君も、家族みたいに思っているから…」
寂しさを紛らすために、抱っこしている結鈴を抱きしめる。
「結鈴。この武将くまたんはね、『たった一人の人』が離れていても寂しくないように、強くいられるように、渡すものなの」
結鈴「?」
結鈴の手にあるわるたんを見る。
まさかこれが娘に渡るなんて、作った時は思いもしなかった。
自分で作っておいてなんだけど光秀さんにそっくりだ。
「んー、そうだな。結鈴は光秀さんが離れてしまったら寂しいでしょ?
悲しくていっぱい泣いちゃったでしょ?」
結鈴「うん」
「だから光秀さんがこれをくれたの。
『俺が居なくても結鈴が寂しくないように、強くいられるように』って」
結鈴「…………」
「これを受け取れるのはたった一人なんだよ。
光秀さんは結鈴のこと、大事に想ってくれていたんだよ」
結鈴「みつひでさん、……ふぇ」
また震え始めた肩に顎を乗せる。
「光秀さんがこれをママに預ける時にね、とっても寂しそうにしてたの」
結鈴「え?」
「ちゃんと聞いていないからわからないけど、光秀さんも結鈴とお別れするのが寂しかったんじゃないのかなって思うんだ」
結鈴「ほんとっ!?」
ばっと振り返った顔は涙でぐしゃぐしゃで、瞼は腫れていた。でも頬は紅潮して口は笑っている。
泣いているのか喜んでいるのかわからない顔だ。