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☆一夜の夢☆〈イケメン戦国 上杉謙信〉

第5章 看病三日目 護身術と誓約


「っ、どうしてそんな辛そうな顔をするんですか?」


顎に添えられた指が熱い。
その熱で私の中にしまってある感情が外に出たいと暴れ始める。


『好き』『傍に居たい』『傷ついた心に寄り添いたい』


強い想いが心の蓋を壊した。


「あ…」


それらが体中を好き勝手に駆け抜け、全身が熱くなった。

制御できない熱さに涙が滲み、少し開いていた口から熱を孕んだ吐息が漏れた。


謙信「舞、俺は…」


何かを伝えようとした声はそこで掠れ、途切れた。

胸がきゅっと締め付けらた。

きっと私の目は熱に浮かされたように揺れているだろう。
謙信様に気持ちがばれてしまうとか、そんなことも考えられないくらい余裕がなかった。


「謙信様…」


『あなたが好きです』そう言いそうになった時、外を数人の子供が楽しそうな声をあげて駆けていった。


我に返ったように謙信様の指が顎から離れた。
私もまた子供の声にハッとなり、居住まいを正した。


(今のはなんだったの?)


心臓がドキドキと鳴りやまない。
謙信様の突然の行動が理解できなかった。

口から出そうになった言葉をむりやり引っ込めて、自分の行動に後悔した。


(過去の人に関わっちゃいけないんだってば。私のバカっ!)


自分を叱咤し、冷静さを取り戻す。

何事もなかったように平静を装い立ち上がった。
これ以上何か言われたりされたりしたら、間違いなく自分を抑えきれない。


その日は夕方まで謙信様の傍には近寄らないようにした。



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