第81章 不思議な夢
幸村の眉間に皺が寄った。
齢はとっていても喜怒哀楽がハッキリしたところはそのまんまだ。
幸村「お前……しばらく会わないうちに意地悪くなったんじゃねぇか?」
「そ、そんなことないよ。幸村が『貫禄』があるなんて言うからでしょ!」
幸村「なに言ってんだ、あれは誉め言葉だ」
「ど、こ、が!」
むむむ、と二人で睨み合っていると、
謙信「蘭丸、さっさと連れて行け」
五月蠅さに耐えかねたのか謙信様が手の平でしっしっという仕草をした。
謙信「さっさと連れて行き、さっさと連れてこい」
蘭丸「はーい、わかりました☆」
幸村「おわっ!?」
蘭丸君は幸村をヒョイと担ぎ上げ、颯爽と去っていった。
「ほっそい蘭丸君が、幸村を担いで走った…?」
ビックリして足を止めていると、謙信様は蘭丸君が駆けて行った方を見て薄く笑った。
謙信「何を驚いている。あの男の身体を見ればあの程度たやすいことだろう。さっさと結鈴を鎮めにいくぞ」
「は、はい」
謙信様と蘭丸君は相性が悪そう…と心配していたけど、謙信様なりに蘭丸君のことを認めているのかもしれない。