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☆一夜の夢☆〈イケメン戦国 上杉謙信〉

第81章 不思議な夢


――――
――

家の近くまでくると予想通りというか結鈴がギャン泣きしている声が聞こえてきた。


幸村「あのすっげー泣き声って謙信様と舞の子なのか?」


足を引きずるようにして歩いていた幸村が槍に寄りかかるようにして足を止めた。

ここに来る道すがら、謙信様達が別邸から姿を消した後の話を全部説明し、幸村も謙信様が居なくなった後から今までのこと、どうやってここに来たのか教えてくれた。

最初は記憶にある若々しい幸村が邪魔をして、目の前の『イケてるおじさん』に戸惑ったけど、話しているうちに幸村は真っすぐのまんま変わってなくて安心した。


「うん、そうだよ。あれは結鈴の声。
 光秀さんが大好きで、寝ている間に居なくなっちゃったから大泣きしてるんだと思う」

幸村「はっ?謙信様の子供が明智のことを好きなのか?」

「ふふ、光秀さんはとっても素敵だもの」

謙信「舞、俺の前で他の男を褒めるな。
 今からでもあいつを八つ裂きにしたくなる。
 舞だけでなく結鈴までも誑かすとは許せん奴だ」

「でも光秀さんは私の恩人ですから、次に出会うことがあっても斬りかかっては駄目ですからね」

謙信「………」

幸村「舞……謙信様を黙らせるなんて、意外とすげぇんだな。それになんか貫禄がついてるし」

「貫禄って…、太ったかな」


(確かにまだ産前の体系にまでは戻せてないかも)


不安になって身体を見おろしていると、心も凍るような冷ややかな声がした。


謙信「幸村、何か言ったか。
 主に顔を合わせる前に死にたくなければ口を閉じろ」

幸村「やめてくださいよ。相変わらず物騒な人だな」

「ふふ」

蘭丸「舞様、幸村殿を手当てしようと思うんだけど、俺の家に連れていってもいい?
 着替えた方がいいと思うし…」


確かに幸村は戦場からここに飛んできただけあって、あちこち血が乾いてこびりついているし、汗や埃で汚れている。


「手伝いたいけど結鈴が居るからお願いしてもいい?
 せっかく信玄様に会うなら身ぎれいにした方が良いかもね、幸村」


さっき『貫禄がついてる』なんて言われた仕返しに、遠回しに『汚れてるよ』と言ってやる。


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