第81章 不思議な夢
袂から佐助君から貰ったピンクのかんしゃく玉を取り出し、高く持ち上げた。
「お祝い……だよね?佐助君、幸村が生きているんだものっ!」
幸村「おい、それってまさか佐助のっ!」
謙信「っ」
謙信様は私の背に居る瑞穂の耳を塞いだ。
蘭丸君と幸村が飛びのくのと、私がかんしゃく玉を地面に叩きつけるのが同時だった。
バーーーーン!バンバンバン!
次々に激しい炸裂音がして、緑や赤っぽい火花が眩しいくらいに散り、最後にヒューーーーンと空高く上がって、ピンクの花火がパーンと弾けた。
花火が終わると小さなパラシュートがヒラヒラ落ちてきて、『祝・おめでとう』という布がくっついている。
ユーモラスな演出が佐助君らしくて笑えた。
瑞穂が音に驚きうえーんと泣きだしてしまったけど、あやしている時間はない。
「幸村っ、ちょっとごめん。この槍、貸して!」
幸村「おい!」
強引に槍を奪って、船に向かって大きく振った。
(この真っ赤な槍なら見えるかもしれない。
佐助君、気づいて!)
お祝いのかんしゃく玉と赤い槍。見えたなら必ず気づいてくれるはず。