第81章 不思議な夢
信長「本能寺に貴様が現れなければ俺は死んでいた。貴様が気にすることがあるか?
濃や息子達には常よりどんな運命(さだめ)がくだろうとも、強く生きろと言っておいた。
少々時がずれ、距離はあるが同じ空の下で生きているのなら、寂しくはない」
ところどころ意味不明な内容だったが、信長の潔い一言に秀吉は胸を打たれた。
虚しさで溢れかえった胸の内に一発浴びた気分だ。
(そうだ…信長様はいつも驚くようなことをおっしゃっていた)
固定概念に囚われがちな秀吉とは違い、突拍子もないことをよく言っていた。
だが内容を理解すればどれも筋が通ったものばかり。
そんなところがたまらなく秀吉の心を惹きつけた。
「信長様はかっこよすぎるくらいお強い方ですね。
信長様……秀吉さんは大丈夫でしょうか…?」
突然名を呼ばれた。
(俺が大丈夫かなんて、どういう意味だ?)
秀吉は耳をそばだて、信長は舞の質問の意味を思案し、間を置いて答えた。
信長「三人で話したあの時を忘れておらぬなら、
……あやつの望みは先の世へつながるやもしれん」
(何を話しているのですか、信長様。舞、教えてくれ)
大事な何かを忘れている気がして、秀吉は焦燥感に襲われた。
二人に手をのばしたところで無常にも風景が変わった。