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☆一夜の夢☆〈イケメン戦国 上杉謙信〉

第81章 不思議な夢


――――

褥に舞が横になっていて、その隣に生まれたての赤子が静かに寝ている。

傍には謙信が座り、舞の手を握っている。


謙信「少し眠ったようだが大事ないか?
 子を産むのがあのように大変なものだとは知らなんだ。よく頑張ってくれた」


謙信が愛おし気に髪を撫でて労っている。


女「ありがとうございます。大変でしたが今回は謙信様が居てくださいました。とても心強かったです」


秀吉は複雑な思いがしたが、目の前の二人は心から愛し合っているようだ。

二人が赤子の顔を見て微笑み合っていると、蘭丸を従えた信長が訪ねてきた。


(蘭丸もやはり生きていたのか)


謙信「何の用だ、信長。舞は子を産んで疲れている。用があるなら出直せ」


(上杉の野郎、信長様になんという口の利き方を!)


そこまで思いはっとする。

信長を目にした時から自分が天下人であることを忘れ、信長の右腕であった頃に戻ってしまっていた。

どんなに時を経ようと信長への忠誠は変わらないようだ。


信長「舞は貴様の妻であるのと同時に織田の姫だ。労いに来てなんの問題もなかろう。
 それに俺は舞の父親がわりだ。そうであろう?舞」

「え?ええ、そうですね。信長様は『お父さんみたい』ですものね。ふふっ」


秀吉も武将くまたんの『のぶたん』の説明を思い出し『そうだったな…』とつられて笑った。


(この夢は胸が温まる)


秀吉は久しぶりに人間味のある感情を胸に抱いた。

天下人として冷えていた心が温められ、溶かされていく。


謙信「ほお?それは初耳だ。舞、あとでじっくり話を聞いてやる」


面白くなさそうな顔をして謙信は立ち上がった。


謙信「信長、手短に済ませろ」

信長「俺とて子を持つ親だ。どれほど舞が疲れているかわかっておる」


色違いの瞳と赤い瞳が空中でバチバチとぶつかり合う。

蘭丸が気を利かせて謙信を連れて去ると、信長は赤子の顔を覗き込み、いつになく柔らかな笑みを浮かべた。


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