• テキストサイズ

☆一夜の夢☆〈イケメン戦国 上杉謙信〉

第81章 不思議な夢


――――

目の前の風景がまた変わった。

部屋には女の他に男が二人座っている。
見覚えのある姿に秀吉は息を呑んだ。


(あれは……)


懐かしい姿に胸が打ち震えた。

齢を重ね、弱くなった目を必死にこらす。

近寄りたいが半透明の身体は心許(こころもと)なく揺れるだけだ。

しかし近寄らずとも男の声を聞いた瞬間に秀吉は確信した。


信長「秀吉の部下達は出立したのか。急いで帰らずとも秀吉も怒るまいに」


『秀吉』と名を呼ばれ感動で身が震えた。


(この声、やはり信長様だ!しかしあのお姿はどうして…)


謙信と同様、信長も若さを保ったままだ。


光秀「あの男の部下というならせっかちなのは納得できます」


喉を鳴らして笑う姿。低く艶のある声……間違いなく光秀だ。


(あの野郎、好き勝手言いやがって…)


むっとする一方で、信長と光秀が生きていたのだと胸がいっぱいになった。


(なんと不思議な夢だ。だが夢でもいい…あの二人が生きていたんだと、今だけでいいから夢を見させてくれ)


何ひとつ変わらない二人の姿だ。
嬉し涙で視界がぼやけそうになるのを瞬きで誤魔化す。

夢だとしても、その姿を見ていたい。秀吉はそう思った。


女「出航して数刻もしないうちに海が時化たようなんです。
 無事だと良いのですが…」

信長「気にしても仕方あるまい。日延べしてはどうかといっても聞かなかったのはあいつらだ」

女「そうですが…。秀吉さんの部下だと思うと、他人ごとと思えなくて」


女の顔は秀吉のいる場所からは見えなかったが『秀吉さん』と呼んだ。


/ 1735ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp