第81章 不思議な夢
「信長様……どうかご無事でいてくださいね。
私にはこれくらいしかできることがありません……ので……」
信長「貴様はまたメソメソ泣きおって。
あとで軍神に斬りつけられるのはごめんだぞ?」
苦笑交じりに文句を言いながら、信長様は抱きしめてくれた。
「ぅ……信長様……」
今まで何度もこうして抱きしめられた。
不安な時も、悲しい時も、心細い時も、寒い時も
………謙信様が居ない時は私を守ってくれた。
「信長様、いつも守ってくださってありがとうございました」
見上げると温もりを湛えた赤い瞳が静かに見おろしてきた。
ここにきてからはもう冷えた目をすることは無くなった。
信長「ふん、守ってやったつもりはない。
貴様が抱き心地のよい枕だっただけだ」
不敵な笑みを浮かべ、太い指で涙を拭ってくれる。
「あ、酷いです!信長様!」
どうかこれからも心を凍らせることなく、信長様の思うように生きてくれますように。