第81章 不思議な夢
「…光秀さんも行くんですか?」
光秀「ああ、もちろんだ」
「光秀さんも外国を見たいと思っていたんですか?」
光秀「この日ノ本での役目を終えたと思った時、俺は信長様が言う『外の世界』に行ってみたいと思ったのだ。
それに舞と佐助の知識は南蛮由来のものが多い。今まで知り得なかった知識を知りたいと思うのは悪いことではなかろう?」
「そうですが……」
二人とも手ごわくて、とてもじゃないけど引き留めるのは無理そうだ。
「でも心配です。ここでずっと一緒に暮らすという選択肢はないですか?」
ダメもとの質問だったけど、案の定二人には鼻で笑われた。
信長「ここの暮らしも悪くないが、些か退屈だ。新しい物を学び、得るために俺はここを出る」
光秀「同じくだ」
「でもっ!お二人が居なくなったら……凄く寂しいです」
信長・光秀「「………」」
勝手にずっと一緒に居られると思ってた。
ここは戦もなく、人をまとめるお役目から解き放たれ、自由に過ごせるから。
安土に居た頃より表情が柔らかくなったし、ゆったり過ごしている姿を見ると、とても嬉しかった。
それなのにまた危険溢れる旅に出ようなんて…。
「気候も、食べ物も、言葉だって違うんですよ?どうするんですか。スマホの自動翻訳アプリなんてないし、ホームシックになったからってすぐに帰って来られないんですよ?」
「それにマナーや文化だってかなり違います。
レディファーストと言って、女性が歩いてきたらドアを開けてあげて、先に通してあげなきゃいけないんですよ?
パーティーの時は手を取ってあげて、エスコートしなくちゃいけないんですよ。
ナイフとフォークでご飯食べられるんですか?」
「信長様みたいに手を懐に入れていたら、銃を忍ばせていると誤解されて問答無用で撃たれてしまうかもしれないんです。何も知らないのに…行かないでください」
話しているうちに心配で胸がつぶれそうになった。