• テキストサイズ

☆一夜の夢☆〈イケメン戦国 上杉謙信〉

第81章 不思議な夢



秀吉「………」


秀吉は日誌を置いた。


(黒髪に赤い目の御仁……)


他人の空似だろうと過剰な期待を抑え込もうとするも、ふつふつと心が湧き上がるのを止められない。


太い柱まで真っ黒に焼け、床が抜け倒壊していた本能寺


どれ程探しても信長と蘭丸の遺体は出てこなかった。

そのせいか、どこかで生きているのではと小さな望みを持っていた。
その望みも20年も経てば薄れ、忘れていたが……。


秀吉は目を閉じた。


サーーーーーー


静かな寝所に、いつの間にか降り出した雨音が響いた。

三成は記載してある人物に心当たりがあり、日誌を秀吉に急ぎ届けさせたのだろう。

きっと秀吉に話を通す前に蝦夷調査隊の編成に入っているに違いない。

しかし一人、心当たりのない人物がいる。


『朝日殿』


唯一名前がわかっている女人に秀吉は考えを巡らせる。
身重で、笑顔が『可愛らしい』と言うのだから若い女なのだろう。


秀吉「朝日……か」


妹と同じ名を口にする。
その妹でさえ、もう年を取り『可愛らしい』とはお世辞にも言えない。

朝日殿の夫の描写の特徴。


『色違いの瞳』


ごく稀に存在するだろうが、秀吉が生きてきた中、知りうる限りは一人。


秀吉「越後の龍、上杉謙信…」


20年以上前に突然行方をくらませ、そのまま死んだとされた男だ。
だがあの男は秀吉よりも年上だった。年齢的に子を授かるのは……


秀吉「ありえねぇ…」


天下人になってからは久しく使っていなかった崩し口調がこぼれた。

それに黒髪に赤い目をした男が信長だとしたら、上杉謙信が一緒に居るわけがない。


(だが猿飛佐助、武田信玄、光秀、蘭丸らしい描写はどうなる…?)

(崖下に消えた光秀がどうやって生き延びた?)


光秀を失った時の情景が蘇り、秀吉の胸が締め付けられる。


秀吉「はぁ、年くったら頭もよくはたらかねぇな。明日、三成と話すか…」


秀吉は枕元に日誌を置き、眠りについた。


/ 1735ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp