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☆一夜の夢☆〈イケメン戦国 上杉謙信〉

第80章 豊葦原千五百秋水穂国


「わかりました。光秀さん、ありがとうございました」

光秀「礼には及ばん。礼なら信長様に言うんだな」

「光秀さんは信長様の命令がなくても助けてくれたと思います」


(光秀さんは優しいもの……)


光秀「信用しすぎるのも大概にしろ。
 俺はいつ何時(なんどき)お前の旦那に刃を向けるかわからぬ男だぞ?」


冷たい光を宿した琥珀の瞳がこちらを静かに見ている。


「そんなこと……」


(そんなことしない。光秀さんは悪戯に人を悲しませることはしない)


謙信「………いつでも受けて立つ。
 だが俺は妻と子を救ってくれた男を本気で相手にすることはない。
 それだけは言っておく」


二人の間に静かな緊張感が漂った。


(さっきは二人で協力して出産を手伝ってくれたのに…)


そんな二人を見ていられなくて目線を下げた。


光秀「恩を感じる必要はない。上杉殿は噂通り義理堅いお人のようだ。
 では俺の命を救ってくれた礼ということに。これであいこ。貸し借りはなし、だ」

謙信「借りはまだある。いずれ返そう…」

「……?」

光秀「……」


謙信様と光秀さんの視線がぶつかり合い、静かな火花を散らすようだった。
やがて光秀さんは何事もなかったように部屋を出ていった。


「あの、謙信様、借りって?」

謙信「熊を狙撃してお前と龍輝を救ったのはあいつだ」

「そうでしたね、なんだか光秀さんにはいつもここぞという時に助けてもらっている気がします。
 いつかちゃんとお礼をしたいな」

謙信「それを考えるのは後回しにしておけ。
 舞、生まれてくる子に名を付けて欲しいと言っていたな」

「はい」


龍輝と結鈴は私が名付けたから、今度は謙信様に名付けて欲しいとお願いしてあった。

ずっと前に決めたようだったけど『産まれたら教える』と言われて、教えてもらっていなかった。


(いよいよ聞ける…)


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