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☆一夜の夢☆〈イケメン戦国 上杉謙信〉

第80章 豊葦原千五百秋水穂国


謙信「これは……」


布団を汚す大量の血液に謙信様が顔を青くさせた。
出産の時は身体に掛けられていた布で出血が見えていなかったのだろう。


光秀「上杉殿、舞の傍にいて何かあったらすぐに知らせてくれ。
 あなたも少なからず心労で疲れているはずだ、座っていろ」

謙信「そうさせてもらう」


珍しく素直に返事をして謙信様が傍に座った。
腕に抱かれた赤ちゃんは寝ながら口をムニャムニャさせている。


「可愛いですね。抱っこしても良いですか?」

謙信「それは構わないが、座っていて良いのか?このような時には寝ているものではないのか?」


ちょっとオロオロしている謙信様がなんだか可愛い。


「寝てしまえば顔がよく見えないので、寝る前に少しだけ抱かせて欲しいです」

謙信「わかった」

「わぁ……ふふ、可愛い!元気な子だと思っていましたがやっぱり男の子だったんだ」


(結鈴と龍輝と比べるとすごく軽くて小さいな…当たり前だけど)


髪は薄っすらとしか生えていなくて、ぱっと見私と同じ茶色っぽい髪色だ。


「パパと同じ目なのかな。パパに似て欲しいな」


キュッと握った両手を胸の前にやったまま眠っている。


謙信「俺は舞に似て欲しいがな…。
 もう少ししたら結鈴と龍輝がここに来たいと言っている。大丈夫か?」

「はい」


おっぱいを飲む気配はなかったので赤ちゃんを枕元に寝かせ、自分も身体を横にした。

隣では光秀さんが片づけをしている。

敷布の下には古紙が何枚も敷かれていて、さらにその下に油紙が敷いてあった。
それをとれば敷布団には一切の汚れがない。

光秀さんが血や羊水を吸った敷布と古紙を丸め、油紙をさっさと折り畳んでいく。


光秀「お産が突然始まったからな。
 こうすれば汚れないだろうと、佐助が案を出してくれた」

「そうだったんですね」


産気づいてすぐ、佐助君が『君の布団を防水仕様にしておいた』って言っていたのはこのことだったらしい。

咄嗟の判断に感謝した。

光秀さんは汚れたものをまとめ、赤く濁っている湯桶を手に立ち上がった。


光秀「三刻(6時間)したら人を通す。
 昨夜は寝ていないだろ。少し眠っておくように。
 上杉殿、舞が動き回らぬように見張っておけ」


光秀さんはすっかりお医者様口調だ。


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