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☆一夜の夢☆〈イケメン戦国 上杉謙信〉

第80章 豊葦原千五百秋水穂国


光秀「偉かったな、今のをもう一度だ。できるか?」


光秀さんが私のお腹に手をのせ、撫でた。


「はい」

光秀「いい子だ。強いな、お前は」


ふっと和らいだ目は、すぐに厳しく細められた。


光秀「最後だ。謙信、舞の力に負けぬよう手を掴んでいろ」

謙信「誰にものを言っている?」


文句を言いながらも謙信様は手を握り直し、寄り添ってくれた。


(き、た)


大きな痛みに襲われ息が短く途切れそうになる。


(息を……しなきゃ…)


光秀さんの言葉を思い出して、お腹で呼吸するように心がけた。


身体を起こしながら息を吐く。
いきんでいるうちに浮き上がっていた腰が布団につき、ズンとした重みを感じた。


「い、た………」


意識が遠のきそうになったところで肩を抱かれた。


謙信「舞っ!気をしっかり持て!」


肩の骨が軋みそうなくらい強く抱かれ、我に返った。


光秀「あと少しだ。もう一度いきめっ」


二人に励まされ気力を振り絞っていきんだ。


「~~~~~~~っ!!!!」


肺の息を全て出し切るまで息を吐き、強くいきむ


ズルリという感覚と共に、数秒遅れて


……赤ちゃんの元気な泣き声が聞こえた。


「はぁっ!はあっ!は……はぁ」


(やっと、生まれた……)


一気に脱力して、謙信様にクタリと身を預けた。

もう定期的に襲ってくる痛みに怯えなくて済む


(息だって、普通にしていいんだ…)


光秀「舞っ、頑張ったな、男の子だぞ」

謙信「舞、大丈夫か」


私をねぎらう二人の声が、元気が良い赤ちゃんの声にかき消されそうだ。


気だるげに目を開けると、そこには……


「……大丈夫です。
 お二人とも……本当に…、ふふ、ありがとうございます」



謙信様と光秀さんの目が潤んでいたのは、私の胸にそっと閉まいこんだ。



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